自由は最高!? ――規制緩和という落とし穴――

テニスでも八百長が話題となっておりますので、今回はスポーツネタでいきましょう。
ビジネスとしてのスポーツになってしまっている以上、八百長やドーピングはてんこ盛りなのが実際の所なんでしょーね、きっと。

【編】 題名が物足りなかったので、足しました(1/23)

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近代化が進んだ現在では、自由、平等、正義、民主主義、規制緩和は金科玉条とされて、もはや穢してはならない神の御言葉のようになっています。
そんな素晴らしい思想ならば、世の中に問題が生じることは無さそうですね。

それでは早速現実に目を向けてみましょう。

 

テロがー、移民がー、格差がー、ブラック企業がー、紛争がー、資源がー、投機家がー、投資家がー、租税回避がー、癒着がー

 

……とっても平和みたいですね。やっぱり自由って最高ー(棒

 

冗談はさておき、自由、平等、正義、民主主義、規制緩和も問題を孕んでいそうですので、ここはスポーツで例えて考えてみましょう。今回、民主主義と正義は放置致します。

 

例えるスポーツは……ラグビーです!

昨年の日本代表の活躍により、やっと日本で注目を浴びたラグビー。ルールも大して知らないので、今回の話には丁度良い題材です。

それでは、自由と規制緩和と平等という大義名分の元、少しずつ岩盤規制を壊して行きましょう!

 

 

ラグビーでは、サッカーの様に前にパスを出すことは出来ません。

   そんなの不便だ! 規制緩和して前へパスも出来る様にすべきである!

そんな喧しい声に気圧されてルール改正に踏み切り、前へパスすることも可能となりました。

これで岩盤規制を一つ突破しました。

 

スクラムと言えば、ラグビーの特徴の一つです。しかし素人には仕組みがよくわかりません。

   わかり辛いのはダメだ! 規制緩和してスクラムは無くすべきである!

そんな喧しい声に気圧されてルール改正に踏み切り、スクラムは無くなりました。怪我人も減ると思われますし、恐らくイイ改正なんでしょう。

これで二つ目の岩盤規制を破壊しました。
素晴らしい! 自由度が増しましたね。

 

ラグビーと言えば、やはり特徴的なボールでしょう。あの楕円形の、美味しい具の入っている揚げたパンのような形――転がった際には、変な弾み方をしますね。

   あんなのボールじゃない! 球形にすべきである!

そんな喧しい声に気圧されてルール改正に踏み切り、ボールは球形へ変更されました。

何だかバスケットボール、ハンドボール、サッカーに近くなってきましたが、きっと以前よりも自由になったんでしょう。
これで岩盤規制を三つも突破しました。

 

さあ、ここでドリルの回転速度を上げましょう。岩盤規制という悪魔をどんどん退治して行きますよ。
合言葉は「自由なんですよ! 自由は素晴らしいんですよ!」

 

人数が15人という規制も無くすべきだ!
⇒ では無制限にしましょう

 男女で分けるなんて、差別だ!
⇒ では男女混成にしましょう。

 ボールが一つなんて不自由だ! いや、ボールだけに拘る必要はない!
⇒ ではボール以外も使用可能とし、個数も無制限としましょう

 反則という規制は不自由だ!
⇒ では反則は無くして、殺傷もありとしましょう

 ゴールがあるなんておかしい!
⇒ ではゴールを無くしましょう

 

沢山の岩盤規制の規制緩和を行い、すっかり自由になりましたね。これらの規制緩和により、さぞ自由で公正で平等で素晴らしい競技へと変わったことでしょう。

 

それではルール改正の結果をまとめてみましょう。

  • 【パ ス】:自由
  • 【人 数】:無制限
  • 【性 別】:不問
  • 【ボール】:個数、形状、用途は自由
  • 【道 具】:何でも使用可能
  • 【ゴール】:無し
  • 【反 則】:無し(殺傷も可)

 

何を競う競技なのか不明な気もしますが、紳士を自称する国が発祥のスポーツに相応しく、野蛮で自由で残忍なスポーツとなった様です。
戦車やミサイルだって勿論使用可能ですよ。犯罪だってやりたい放題です!

 

……。

 

自由過ぎるのはよろしくないことがわかりましたので、続いては規制強化でもしてみましょう。

 

 1µm足りとも前にパスをしてはならん!
⇒ パスの度に映像判定を用いて、厳密に判定することになりました

 人種差別はイケない!
⇒ 控え選手や監督、コーチらを含めて、黒人、アジア人、白人といった人種は、それぞれ同率でチームを編成する規定が設けられました

 体格差は不平等だ!
⇒ フォワード、バックスそれぞれに、身長、体重、体脂肪率、骨格筋量、手足の長さの規定が設けられました

 一人が爆走してトライを決めるのはイカン!
⇒ ボールを持った状態での走行距離に制限が設けられました

 パスばかりしてジレッたい!
⇒ 一回の攻撃で行えるパスの回数に制限が設けられました

 

この辺で止しましょう。観ていても全然面白くない競技に成り果てるだけです。

 

もうお分かり頂けたと思いますが、それぞれのスポーツの特徴、即ちその競技足らしめているものの構成成分は規制であり、ルールはその競技が面白くなるように、時間を掛けて定められて行きました。

多くのスポーツの原型は、誰かの暇つぶしや思い付きからはじまり、様々な改良が成されて現在の形になっています。無論、初期なり途中においては変なルールもありましたが、そういったモノは棄却されて行きました。

(オリンピック競技などのルール変更については……成熟した大人を自称する未成熟で傲慢な白人方が、悪巧みをしているだけでしょう)

 

馬鹿らしいルールの例としては、過去のテニスの服装でしょう。現在もウィンブルドン大会での服装は白と定められていますが、昔はもっと凄かったんです。

  • 【男性の正しい服装】:白い山高帽、真鍮ボタン付きのブルーの燕尾服、白いベスト、ラベンダー色のズボン、真珠色の手袋、エナメルの長靴でなければならない
  • 【女性の正しい服装】:広いつばと飾りのついた帽子にロングスカート、白の長手袋といった服装

当然ながら、経済的に恵まれた人しか出来ない競技でした。その一つの理由が、あまりにも多くのネクタイが駄目になるから。ネクタイは1ゲームごとに1本駄目になっていたそうです。

そこで「ノーネクタイ、サージのシャツ」という地味な服装の規定にしろ、という抗議が起きるようになり、服装は簡略化されて行きました。

 

規制は重要であり必要である一方、厳密過ぎると不自由で馬鹿らしい上に、面白くなくなってしまうわけです。大事なのは、程好い塩梅の規制。そして全体的に丸く収まるような規制の組み合わせ

また、規制強化の部分で平等の追求も行ってみましたが、過ぎた平等の追求は不自由なことこの上ないし、現実的ではありません。リーグを組めるかどうかすら危いのですから。

更に平等を追求して行くと、やがてスポーツ協会や連盟、観客すらも、平等という大義の元に様々な規制が設けられそうです。これで競技が盛り上がるとは思えません。

競技者も観戦者も運営者も、その競技を楽しみ、盛り上げて行くことが目的でしょう。平等の追求や規制緩和、規制強化は、そのための手段の一つに過ぎません

 

大事なことなので、もう一度言っておきましょう。

料理の味付けや芸術作品のように、重要なのは特徴を立たせた上で全体を調和させることです。

何事にも適正範囲がありますから、そこから外れるような組み合わせの主張を行っている者は、往々にして残念な人か、我田引水を目論むタダの未熟な自己チューです。

ことさら自由・平等・規制緩和を喧しく唱える人々は、乗せられている愚か者未熟者か、詐欺師なのかもしれませんね。


「自由は最高!? ――規制緩和という落とし穴――」のコメント一覧

  1. 1
    noranekoma のらねこま  :

    面白かったですね~。なお、規制緩和してやっぱり規制強化するという笑える流れは、例えば最近のバス死亡事故のように、参入規制緩和→事故発生→安全規制と指導の強化、という流れに合致するような気が・・・結局は規制の組み替えに過ぎなかったりします。結局のところ「企業の自己責任」ですべてフリーにするわけにはいかない業種もあるわけで、良く考えて欲しいですね。

  2. 2
    やまねろん  :

    >>のらねこまさん
    楽しんで読めた方がいいだろーってことで、こんな書き方をしています。書く方も楽しいですし。
    そろそろ真面目で堅いのも書いてみましょうかね……。

    >「企業の自己責任」
    これほど信用ならず、当てに出来ないものは、そんなに無いと思います。ほとんどの企業の第一目的は、儲けることですもん。倫理性を第一位に据えたら、慈善事業になりますしね。

    >すべてフリーにするわけにはいかない業種もあるわけで、良く考えて
    「自由は素晴らしい」教の信徒がよく考えた結果、こんな惨状な気がします。彼等は自己利益拡大と教義の布教が目的でしょうから。
    程々の自由さ加減こそが、面白さも工夫も生まれやすいと思うんですけど、「(際限の無い)自由」という言葉は魅力的に聞こえますから、支持を得やすいのでしょう。