私が望んでいた答案

どうやらスティグリッツ、クルーグマン両氏の提言もあり、なんとあの経団連の榊原会長も「財政出動を伴う形で思い切った規模の景気対策が必要」と言い出し始め、そして消費増税の引き上げも見送るのではないかとの憶測も流れ始めました。

安倍政権が誕生し、当初の金融政策、財政政策、成長戦略と言う名の技術への投資から、金融政策、緊縮財政、構造改革へと歪められてしまったアベノミクスですが、ついにその歪みを糺さずにはいられない状況に日本経済が陥ってしまったようです。つまり、国民を騙すのも、そろそろムリが出てきたのでしょう。

自民党では地方へのインフラ、高速道路、新幹線網整備などを行う10年間で10兆円規模の予算を組むよう政府に提言する「故郷を支援する参議院の会」も発足し、ついに本格的な「財政出動」への機運が高まって来たようです。

もちろん私としては「そうだ!やれやれ!」と応援したいのですが、あれ?と思う事も起こりました、なんと「故郷を支援する参議院の会」の事務局長を務める西田議員が消費増税を容認するかのような発言をしていたのです。

西田議員はどうも国民に与えられる社会保障に比して、国民の負担が軽すぎると思っているようなのです。

ここに、島倉原さんの「もう一つの緊縮財政」という記事があります。(三橋貴明 新日本経済新聞)

http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/03/24/shimakura-4-2/

それによると国民の年間負担、社会保険料負担は増加しており、年金支給は削減され、家計の実質的手取所得はすでにアベノミクス以前の水準を下回っているそうです。

ここで大きな疑問が浮かび上がってきます。

日本国内に10年間で10兆円規模の財政出動を行うという事は、まずその事業自体が国内の仕事、内需を拡大します。つまり単純に仕事が増えます。仕事が増えるという事は仕入れも増えますので、仕入れ先企業の仕事も増えます。しかも10年間という期間は間違いなく仕事が約束されますから、それに付随する企業は人を雇い入れます。雇われた人達はその与えられた給与から消費活動を行いますから、その消費に使われたお金はどんどん世の中を回り始めます。さらに地方のインフラが充実することによって、それら地方への民間投資も活発になり、ますます経済は活況を呈し、日本全体にとって好ましい景気循環が行われるはずです。

さらに私もそうですが、財政出動をするべきという人達は、財政出動によって仕事が増える、必然的に人が必要になる。それによって雇われている人達の賃金が上昇する。と言う未来を語ります。

ですが、それは本当に正しいのでしょうか。

島倉原さんが仰られているように年々国民の負担は増加していますし、さらに現在、日本では非正規雇用者が全雇用者数の40%を占める事態に至っています。それは団塊の世代の大量退職組が非正規数にカウントされたからだと言う意見もあり、派遣労働法などの緩和によるものだと言う意見もありますが、私の生活実感としては、今まで正規社員が行っていた仕事が非正規社員によって行われる事も多くなっているように思います。つまり長年のデフレによって企業自体が社員の雇用構造を変革してしまっているのです。

さらにはTPPに代表されるグローバル化です。世界の動きとは逆行した安倍政権の動きによって「国際競争力」というお題目の賃金抑制策がどんどん推進されているようです。

私は一つの危惧を抱いています。これら財政出動は確かに日本の経済を上向きにし、地方の活性化をもたらし、さらに内容によっては来たるべき自然災害から日本人を守ってくれるでしょう。間違いなくやるべきなのです。しかし、もしかすると国民の実質手取所得はそんなに上がらないかも知れません。

確かにやるべきですが、答案としては60点の答えなのです。今の0点よりははるかにマシですが、私が最初にアベノミクスに望んだ100点の答えではない事は確かなようです。


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  • noranekoma