イギリスがEUを離脱した理由

 ついに、イギリスのEU離脱が決まりした。今回決まるとは思ってなかったので、予想以上の早い動きだと思いました。
 何が早いかと言うと、先進諸国における貧富の格差・貧困・失業の拡がりによって、必要以上に自分達の職を奪うことになる移民排斥の動きと、仕事が労働力の安い所に奪われてしまうグローバル経済に反対し、一国主義に回帰しようとする動きです。
 このような動きはアメリカにも拡がりつつあり、それが移民排斥とTPP反対のトランプ氏支持の原動力となっています。
 つまり、アメリカでのトランプ氏支持の異常な拡がりと今回のイギリスのEU離脱は同じ世界的潮流の現れだと言う事です。
 要するに、自分達がどんどん貧しくなって仕事も無くなっているのに、外国人に仕事を与えるなんてとんでもないという本音が世界中に拡がりつつあると言う事です。
 その一番の原因は、前にここにも書きました様に、世界中の富の半分が1%の富裕層(株主、投資家)によって占有されていると言う事実です。
 本来、労働力と言うのは富の源泉であり、労働者によって産み出された富は労働者に還元されるべきもので、充分に還元されさえすれば、それが大きな購買力となって、どんどん景気も良くなるはずですが、いつしか労働力はコストであるとみなされるようになり、グローバル経済の名の元に、どんどん労働力の安い国に仕事が奪われるようになり、先進国の労働者の賃金は下降の一途をたどるようになったのです。
 一方、発展途上国で安い労働力を得ることが出来るようになったグローバル企業はとてつもなく収益力が上がり、その膨大な利益の殆んどは株主に還元されていった訳です。
 そうして、富裕層に世界中の富が集中する一方、世界中の労働者はどんどん貧しくなっていったのです。1%の人が富を独占し、99%の人が貧しくなると必然的に世界中の購買力は下がり、慢性的な不景気状態に陥ります。それが今の状況です。
 この状況を改善し世界的な保護主義と一国主義の拡がりを防ぐには、各国が協調して国際労働協定を締結して、労働者への充分な富の還元を全世界の企業に義務付け、同時に国による賃金格差が先進諸国における雇用機会の喪失に繋がらない様に、関税障壁を復活させるなどして、無用な国際競争が無くなるように国際的な法整備をすべきなのであります。
 国際競争が無くなると物価が上がると思う人もいるでしょうが、全世界の企業が国際法に基づいて全ての労働者に充分な賃金を払うようになれば、物価が多少上がっても全ての労働者は充分な購買力を維持できるのです。
 しかも、無用な国際競争は制限されても、物価水準や賃金水準が同じ地域内では、労働者の賃金配分を充分にするという同じ国際法に準拠している企業同士の自由競争はそのまま続けられるため、生産性が下がることもありません。
 これはとても簡単な理屈で、全世界の人がそうしようと今日から思えばすぐにでもできることなのです。
 しかし、残念ながら、そのような全世界な政策合意を支持する人はまだまだ少数派で、労働力はコストであるという株主の論理をそのまま鵜呑みにして、自分の給料が下がり続けてもしょうがないと諦めてしまう人や、自由競争とグローバル化がみんなを幸せにすると未だに盲目的に信じている人や、アメリカやイギリスの短絡的な人たちのように全てを移民や外国の労働力のせいにして、彼らを排除することと一国主義で問題の解決を図ろうとする人たちの方が圧倒的に多いことが大きな問題なのだと思います。
 ようやく最近になって欧米の良識のある人々の間で富の再分配を政策として実行しようという国際世論が高まってきましたが、日本ではまだそのような世論は盛り上がっていません。
 早くしないと、このままでは世界中に人々の鬱憤がたまり、それが民族主義や国家主義となって各国で爆発し、あのヒットラーが登場した時のように悲惨な状況になる可能性すらあると思います


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  • コテヤン@どうやら管理人
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About hsgch3
プロの通訳・翻訳家でミュージシャンです。ネット英会話の講師もしてます。I am working for a research institution in Tokyo as an interpreter and also as a translator. I compose synthesizer music.

「イギリスがEUを離脱した理由」のコメント一覧

  1. 1
    noranekoma のらねこま  :

    こんばんは。「国際労働協定」のアイディアいいですね。こうした国際協調こそ本当の意味での人類の融和を実現する気がします。人権と博愛による融和です。グローバリズムと呼ばれる資本利益による統合世界とは本質的に異なる概念だと理解します。このままカネの亡者が我欲に固執し続ければ、マスコミがさかんに極右などと騒ぐレベルを遥かに超える「本当の極右・極左」が生まれる危険性を感じます。恐ろしいことにマネーの支配者はむしろ、それを望んでいるのかも知れませんね。

  2. 2
    コテヤン@どうやら管理人 コテヤン@どうやら管理人  :

    国際労働協定という発想はなかったです。一考に値するアイディアだと思います。
    あと、過激な資本移動の自由もある程度制限しないと、マズイなぁ…という感想を持っていますが、国際労働協定はそれも抑制する働きがありそうです。