TPPは私たちの最後の希望を打ち砕く 返答編

前回、寄稿させていただいた「TPPは私たちの最後の希望を打ち砕く」に「のらねこまさん」より下記のようなコメントをいただきました。

そのコメントを拝見させていただき、つくづく自分の書いたものが、ブログ名のとおり「ど素人」的なものだったんだなと、御質問のような内容を含めない限り、なかなか説得力のあるものにはならないのだなと、非常に勉強になりました。

「のらねこまさん」に心から感謝しつつ、出来る限りご質問に答えてゆこうと思います。

私の先のエントリーは、2011年3月に出版された

「TPPが日本を壊す 廣宮孝信 青木文鷹」

を参考にさせていただいたことを、まずお伝えします。

さて、御質問の内容です。

>やす 様
はじめまして、

TPPの政府調達の件、とても問題があると思います。

もしご存じなら教えていただきたいのですが、この場合の政府調達において、もし海外の企業が受注した場合、資材および労働者はすべて持ち込み可能なんでしょうか。たとえばTPP域外の中国の材料だけを持ち込み、中国人労働者を連れてきて工事する、なんてこともやられてしまうんでしょうか。自動車だと「域内調達率」なんて縛りがありましたが、政府調達は無関係なんですかね。だとしたらご都合主義のような気が。

実のところ政府調達について私が確認できている事は、日本においてはこれまで以上の譲歩(政府調達において)をする事にはなっていません。

あくまでもWTO政府調達協定の範囲内との事です。(日本はWTO政府調達協定にはすでに参加しています。)

>物品、サービス、建設サービスなどの政府調達をめぐっては、7月の交渉で公共事業発注などの市場開放に関するルールづくりを進めていくことで実質的に合意。12カ国のうち、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、ブルネイがWTO政府調達協定に参加しておらず、参加国と同様の調達ルールを採用していくことで一致した。

日刊建設工業新聞

://www.decn.co.jp/?p=47755

実のところWTO政府調達協定自体も、かなりふざけた内容を含んでいます。

しかし、ここで考えるわけです。

TPPとはそもそもなんぞや?

そもそもTPPというのは2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国によって発効された経済連携協定が原型となります。

そこにアメリカが参加表明し、日本、オーストラリアなどに参加を呼び掛けたものです。

ですから、TPPなるものの性格を知るには、先に4か国で発効されたものを確認すれば、およそ知ることが出来るのではないでしょうか。

その4か国によるTPP原文を青木文鷹さんが日本語訳してくれています。

日本情報分析局  青木文鷹

http://nihon-jyoho-bunseki.seesaa.net/article/230293737.html

■第4条 内国民待遇及び無差別待遇

1 この章で取り扱う政府調達に関する措置について、各加盟国は、他の加盟国の産品、サービス及び供給業者に、国内の産品、サービス及び供給業者に認めているのに劣らない待遇を与える。

2 この章で取り扱う政府調達に関する措置について、加盟国はその事業体に以下のことを許さない。

 (a) 他加盟国の人による所有権又は他加盟国との海外提携の度合いを理由とした、地元の供給業者に対する、地元の別の供給業者以下の待遇。あるいは、

 (b) その供給業者が提供する産品又はサービスが、別の加盟国の産品又はサービスであることを理由とした、地元の供給業者に対する差別。

3 加盟国は企業を、自身がその企業の株主であるかどうかに関わらず、特別扱いしない。

4 本条は、輸入に関連する又は課するあらゆる種類の関税及び課徴金、当該関税及び課徴金を徴収する方法、他の輸入規制に関する措置、もしくはこの章で取り扱う調達を具体的に統制する措置以外のサービスの貿易に影響を及ぼす措置には適用しない

■第6条 減殺の禁止

 各加盟国は、調達のいかなる段階でも、その事業体が減殺を課さない、求めない、あるいは検討しないよう努める。

これらの条文を見る限り、すべての(国内、海外問わず)供給業者を等しく扱わねばならないと規定されています。

今、大筋合意を果たした内容がどのようなものであるかは分かりませんが、もともとTPPなるものがこのような条文にて成り立っている以上、目指すべき完成形はここにあり、そこを目指す性格のものである、といえるのではないかと考えます。

もちろん、それに反対する意見もあります。下記のサイトでは海外の企業が安価な公共事業を入札するメリットがなく、外国人労働者を連れてくることなどないだろうと述べられています。

TPPと政府調達 節操のないサイト

http://taste.sakura.ne.jp/static/farm/society/tpp_monkey_15.html

ただ、現在安倍政権は外国人労働者の受け入れに前向きなようです。技能実習制度緩和における介護、建設、そして戦略特区におけるメイド、医師などです。そう考えればわざわざ外国人労働者を連れてこなくとも、近い将来自分達で勝手に来るという状況になりそうです。

これにより労働者の賃金問題もめでたく解決し、彼らの面倒は日本の下請けにまかせ、高度な技術が必要なものや、工事全般の監督などに関しては自社及び他から持ってくるという徹底的なコストカットとアウトソーシングを為し得たビジネスモデルが公共事業についても完成するのではないかと考えます。

そして地方においては、その影響を非常に危惧している事は間違いないようです。

北海道のTPP協定の影響に関するQ&Aの中で、TPP協定において、政府調達基準額が引き下げられたり、政府調達の対象範囲が拡大される場合には、その内容によって道内の企業への受注機会への影響も懸念されるとし、さらに地元企業への優先発注が出来なくなることで、雇用面への影響も懸念され、さらには外国からの単純労働者の流入を心配しています。

H23 12月 北海道

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/ssk/TPP_QA2.pdf

さてさて、私たちはこのTPPなるものについて、どう考えれば良いのでしょうか?

実は、現在安倍政権ではグローバル企業が必要としている構造改革に邁進しており、TPP交渉に関係なく日本社会を自らが公言する通り「安倍ドリル」によって「改革」しようとしています。

TPPは、それら「改革」で得たシステム、彼らにとっての「打ち出の小づち」を、日本の怒れる国民によって取り上げられない為の「保険」としての役割を果たすものなのかも知れません。


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  • コテヤン@どうやら管理人

「TPPは私たちの最後の希望を打ち砕く 返答編」のコメント一覧

  1. 1
    noranekoma のらねこま  :

    やや、これは大変な事になってしまった。
    自分がアホな小学生的ノリで「ねえ、ねえ、何それ、どーなんてるの(へらへら)」とか質問したら、大地震が発生して津波が押し寄せてきたようです。う~ん、困った。そういうつもりでは・・・。すいませんです(罪悪感です)。

    わたしはグローバル経済に関しては考えがまとまっておらず、情報収集中なので、リンクは大変に参考になります。とりわけ「TPPと政府調達 節操のないサイト」は面白いです。彼もTPP総論の項で「長期的視野では話は別だが、」と断っており、長期的予測が困難であることを暗に認めております。個人的には、この部分を利用して攻撃可能かなと推測します(具体案はまだゼロ)。

    細かい話だと、外国人労働者による失業率の話はありますが、治安などいわゆる「社会の質」に関しては触れていません。このような、もっと大枠の、あるべき姿の論から踏み込んで論破したいと計画します(具体案はまだゼロ、って全然ダメじゃん)。

  2. 2
    baiannmidareame やす  :

    >>のらねこまさん

    いえいえ、ご質問いただき私としても勉強になりました。

    ただ、いただいたご質問の回答になっていないのが心苦しいのですが・・・(泣)

    正直、どれもこれも他国の似たような事例を見るか、事態が進んで結果を見るか、それとも想像を働かせてみるか、しかないようです。

    「TPPと政府調達 節操のないサイト」ですが、実は私もチラッとしか見ていないのです・・・ただ反論もあることを示すべきだろなーと探した結果です。私も、もう少し拝見して、論の穴を探してみようと思います。

    改めて、ご質問いただきありがとうございました。