グローバリズムが世界を滅ぼす(エマニュエル・トッド、中野剛志、藤井聡、柴山桂太、ハジュン・チャン著)

5人の著名な学者が議論し、認識をし、そしてグローバリズム・新自由主義を多角的に分析し、行き着いた答えがこの一冊に凝縮をされております。
第一章に始まる5人の対談も十二分に濃いのですが、第二章における藤井聡教授の新自由主義と全体主義の結びつきについて、第三章のおけるハジュン・チャンの新自由主義が結局は成長すらもたらなさなかったという客観的データの提出、第四章における柴山桂太教授の歴史分析等々非常に読み応えのある内容となっております。

なかでも印象的だったのが、エリート層の劣化をエマニュエル・トッドやハジュン・チャン、中野剛志が共通して実感しており、新自由主義・グローバリズムによってエリート層が劣化したのではなく、むしろエリート層が劣化したから新自由主義・グローバリズムが蔓延っているとの見方もできるということです。

エマニュエル・トッドは人口学、家族学、歴史学等々の観点から各国を分析し、ユーロ圏が大変に不幸な状況にあることを分析しております。
また分析の中で面白かったのが教育が浸透した結果として平等が阻害され、逆説的に不平等が追認されているという説です。
彼はいま仮説として考えている段階と言っておりますが、非常に説得力のある論理展開をしております。

中野剛志は新自由主義と結びついたことで保守が死んだ、という結論を論理的に分析をしコールリッジ等々の第一次グローバリズムの世界で、自由主義経済に抗った保守を上げ、実際に保守とはこのようなものだと定義をし、そして現代社会において新自由主義と結びつくことで、保守が死んだと語っております。

様々な側面から述べられる、非常に多角的な分析と仮説は大変に説得力があり、面白く、そして読みやすいものとなっております。

最後にそれぞれのご専門の分野を記して、本レビューを終わりたいと思います。
エマニュエル・トッド:歴史人口学、人類家族学
ハジュン・チャン:経済学者、ケンブリッジ大学教授、ケンブリッジ大学でも新古典派経済学が主流なんだと嘆いております。
藤井聡:京都大学院教授、専門は土木建築学ですが、その功績は多岐にわたるようで日本の偉大な知性の一人
中野剛志:評論家と書かれていました。官僚やめたのかな?エディンバラ大学社会科学博士号をお持ちだとか。筆者が一番好きな人。
柴山桂太:京都大学院准教授、経済思想、現代社会論専門。穏やかな方で非常に好感が持てます

書評を書いていて思いますのは、経済学の偉大な人物の一人であるケインズもまた「経済学者ではなかった」と言う事実です。
古典派経済学、新古典派経済学は共に「視野の狭い学問」と言えまして、経済学だけで「社会が語れる」ことはそうそうありません。

社会とは経済だけで成り立つわけではなく、コミュニティ、軍事、政治、民主主義、自由主義、国際情勢、国体(国の体質)、文化等々
非常に多岐にわたる分析が必要であり、その表層上の一部として経済という現象が存在をするのだと思います。

そしてそれら学問を科学として捉えるならば、あらゆる観点から多角的に分析して仮説を立て、初めて「実態に近いだろうという仮説」が立つのだと思います。
その意味でもこの本は非常に有益であり、医者で例えるならば脳外科、内科、外科、小児科、形成外科等々のあらゆる専門家が揃って一つの異常をきたした人体を分析しているようであります。

現在「世界を戦争に導くグローバリズム」(中野剛志著)をもうすぐ読了致します。
こちらもぜひとも皆様にご紹介差し上げたいと思います。

・・・・・ご紹介したい本が山程あります。
藤井聡先生や適菜収先生等々の共同著書の「ブラックデモクラシー」や三橋貴明氏著書「亡国の農協改革」や…

影法師様と競って、書評を拡大していけたらいいなぁ…なんて思っておりますw

他の方も「これおもろいから読んでみて!」というご本があれば、短めの書評でも結構ですのでぜひともご紹介下さい!


コテヤン@どうやら管理人
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