日本の農業は究極の選択を迫られる事態に

農産物の関税が完全に撤廃されれれば、海外から安い農産物が流入することは間違いありません。その時に日本の農業が生き残る方法は、日本全体の視点から考えると、大きくは二つしかないと思います。それは、

(1)コストダウン(リストラ)
(2)新たな市場の開拓

大規模農業化とは(1)に該当します。昔の囲い込み運動(エンクロージャー)に近いかも知れません。農業への異業種参入もこれが目的だと思います。この場合は農業従者をリストラすることでコストダウンを図ります。企業のリストラと同じで、人手を減らせばコストが下がるのは間違いありません。その結果、農業従事者は減少します(というか、減少させることが目的)。ただし高齢化・後継者不在による耕作地の放棄もあるので、意図的にやらなくても農業人口が減少するケースもありそうです。

いわゆる「高付加価値化」は(2)に該当します。高付加価値化といえば聞こえが良いですが、やることは新たな市場の開拓です。コストダウンするのではなく、販売価格は高いまま、高く売れる市場(海外の富裕層など)に売り込む方法です。必要なのは市場調査と、その市場のニーズにあわせて農産物を生産することです。ニーズに合わせる行為を「高付加価値化」と呼んでいると思います。

(1)の方法は農業従事者はリストラで減りますが、食料自給率は確保できます。
(2)の方法は農業従事者は生き残りますが、食料自給率は低下します。

なんか、究極の選択のような・・・・。それでいいのかな?


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  • コテヤン@どうやら管理人

「日本の農業は究極の選択を迫られる事態に」のコメント一覧

  1. 1
    yuruneko_blue ゆる猫  :

    実際、日本の良質な農産物は、輸送手段(輸送ルート、保存技術など)などをちゃんと確保すれば、中国などで高値で売ることは可能だと思います。しかし、そうなると、誰も日本の農家は、国内向けの安い農産物など作らなくなり、庶民の口には、ほとんど農薬まみれの、安い外国産の野菜しか入らない、ということになりかねないと思います。

    一度そういう体制ができてしまうと、その流れをくつがえすことは非常に困難になると思います。今のように、良い農産物が安く手に入る、という状況は、ほとんど起こり得ない状況になっていくかもしれません。かといって、海外の安い農産物と日本の良質な農産物を、国内だけで競合させれば、日本の農産物の価格がどんどん下落していくことは明らかであり、そうなると、日本の農家は激減し、自給率は本当に危険な状態になってしまうと思います。

    まさに究極の選択、という感じがしますね。

  2. 2
    holyfirework 灯火  :

    究極の選択というより、農業の二分化であり、同時進行している事実ですね。TPPで、この流れは、更に加速するでしょう。

    米や野菜など、生命維持に必要な食糧は、大規模化と機械化による生産性の上昇によって、コストダウンを図り、なんとか稼げる農業という方向に行くでしょうし、果樹や畜産品のように、ブランド化を進め、付加価値を高めて、儲かる農業を目指す方向に行くでしょう。

    どちらも、日本農業が生き延びる為の生存戦略であり、上手くいかなければ、日本農業は滅びることになるでしょう。

  3. 3
    noranekoma のらねこま  :

    >>ゆる猫さん
    ありがとうございます。日本の農家が外国に輸出するために安全安心の有機栽培農産物を作って外国の富裕層が食べ、格差拡大で増加した日本の貧困層は外国で量産された化学肥料による農産物を食べる。市場経済メカニズムからすると当然なんでしょうが、どう考えてもおかしい気がしますね。庶民の所得を伸ばして、国内の農産物をみんなが買えるようにしてほしいです。

  4. 4
    noranekoma のらねこま  :

    >>灯火さん
    >上手くいかなければ、日本農業は滅びることになるでしょう。
    そのとおりですよね。それでもって、たとえ上手くいっても、なんか不自然なんですよね。攻めの農業というか、崖っぷちまで攻めたてられた農業というか。仮に失敗したら「市場経済なんだから当然」とか新自由主義の方は主張するのでしょうが、地球上の人口が爆発的に増加してますし、途上国の食肉需要も爆発的増加しますから飼料として穀物が不足するようになるはずです。長期ビジョンはどうなってるんでしょうね。カネで買えばよいという話じゃないでしょうに。

  5. 5
    yuruneko_blue ゆる猫  :

    >>のらねこまさん

    やっぱり、おかしいですよね。「身土不二」という言葉がありますが、その土地で採れた食物を食べるのが、一番体に良い、と言われてるんですよね。まして、お互いの国が相手国に食料を送りあう、ということになったら、ものすごい燃料費のムダが生まれるような気がします。食料の運搬って、めちゃめちゃエネルギーを使うんですよ。

    農業の問題で大きいのは、ほとんどの人が、農業というものをよく知らない、というのが、かなり大きな問題になっているように思います。大規模農業にすれば、確実に生産性が高まると、みんな心から信じ込んでるんですね。しかし、実際に大規模農業がさかんなアメリカやヨーロッパにおいては、日本の数倍もの補助金がばらまかれているわけで、少しも生産性が高いわけではないわけです。しかし、なぜ、そうなるのか、という理由を誰も説明できないわけですね。(僕もはっきりとした理由は分りませんが)

    おそらく、農薬や化学肥料、大型機械など、非常にコストがかかるものを大量に使用している、ということもあると思いますが、もう一つは、日本には小規模農業ならではの「強み」のようなものがあると思うんですね。

    僕は友人や親せきにかなり農家の人が多いので、結構お手伝いに行くことが多いのですが、農業というのは、基本的にいつも忙しい、というわけではなく、めちゃめちゃ忙しい時期と、それほど忙しくない時期と、結構はっきりと分かれているんですね。

    それで、小規模でやっている人たちというのは、色々な農業機械を買うだけのお金がないので、忙しい時期は家族総動員はもちろんのこと、親戚や近所の人にまで声をかけて、農作業を手伝ってもらったりすることがよくあるわけです。大規模農業にしてしまうと、もちろんすべてが機械に置き換わってしまいますから、そういうこともほとんどなくなるのですが、小規模だからこそ、機械の代わりに、その辺の人を集めてなんとか済ませてしまう、ということができるわけです。

    もちろん、手伝ってもらった人には、お金や、あるいは農産物でお返しするわけですね。農家というのは、わりと、流通コストに見合わないような農産物を大量に廃棄したりしますから、そういうのをもらってくれる人がいると、かえって助かったりするわけです。もらう人も、スーパーで買ったりすると、けっこう高くつきますから、(農産物というのは、出荷時の4倍とか5倍の値段で販売されたりします)非常に助かるわけですね。

    こういうのは、結構、経済的に馬鹿にできないところがありまして、一年に数日しか使わない農業機械を何百万も出して買うよりも、その辺の人を集めて、なんとか作業を終わらせてしまった方が、経済的にはかなりお得だったりするわけです。つまり、低コストで農産物を作ることが可能になるわけですね。日本の農業の補助金が他国に比べて少ないのは、もしかしたら、こういうところにも原因があるんじゃないか、と考えています。

    長文失礼しました。

  6. 6
    Gokai  :

    >>のらねこまさん
    >庶民の所得を伸ばして、国内の農産物をみんなが買えるようにしてほしいです。

    所得補助制度を作れば可能になりますよ。
    働く者のみ全てに政府から、不足分の所得を支給する制度です。
    ベーシックインカムによる労働力不足の懸念という欠点を排除でき、また企業の労賃減からの競争力強化や高付加価値製品の国内販売数に貢献など、さまざまな利点があります。

  7. 7
    noranekoma のらねこま  :

    >>ゆる猫さん
    >ほとんどの人が、農業というものをよく知らない、というのが、かなり大きな問題
    これ、ほんとに痛感しますね。実際の農家の方をほったらかして識者が経済理論で話しても理論先行で農家の人にとって「は?何をいってるの」みたいになってしまいます。たまにニュースでグローバリズム模範農家の人がインタビューされてますが実際はどうなんでしょうね。

    >農業機械を何百万も出して買うよりも、その辺の人を集めて、なんとか作業を終わらせて
    こういう発想は農業素人にはできませんね。現場の実態に合ったコストダウン手法で大変に面白いです。まず機械や大規模化でごり押しするより、こうしたアイディアが必要ですよね。市場原理も大切ですが、すべて市場原理で解決しようという発想は違う気がします。

  8. 8
    noranekoma のらねこま  :

    >>Gokaiさん

    >所得補助制度を作れば可能になりますよ。
    いいですねえ、大賛成です。まず国民におカネがなければ、いくら農家の方が有機栽培などで付加価値を高めても買えないですよ。海外の富裕層に食わせるんじゃなくて、日本人に食わせてほしいです。

  9. 9
    コテヤン@どうやら管理人 コテヤン@どうやら管理人  :

    やはりここは安全保障型経済分配論で…w
    前にも書いたのですが、国内向けの農業補助金の活用で輸入物より安く市場に回るように、「あるべき農業従事者所得の価格」-「市場競争力が出来る価格」の差分を政府が補助するべきじゃないかなぁと。

    なんにしても自分たちの胃袋の全てを「他国に掴まれる」なんてことは避けたいものです。
    あと日本農業のプランテーション化もまっぴらごめんですw
    (三橋氏は上記を商業農業と国民農業と言う言葉で定義しているようです)

  10. 10
    noranekoma のらねこま  :

    >>コテヤン@どうやら管理人さん
    そうですよね、手法はいろいろあると思いますが、最終的に自分たちの胃袋を他国に依存するのは避けたいです。もちろん豊かな食生活のために食料の輸入はあってもよいわけで、ただし、バランスのとれた形じゃないと安定した食料事情は実現できないと思うんです。日本農業のプランテーション化は面白い表現ですね。まさに金儲けのための農業です。

  11. 11
    Gokai  :

    TPPによる農業の国内総生産の減少額は、農協の試算によると7兆9千億円程度とのこと。これが全て輸入に変わるわけですから安く輸入されるとしても、輸入増加額はおそらく4兆円は下らないのではないでしょうか?
    とすればそれだけ貿易収支を悪化させることになります。2015の経常収支予想額派15兆2千億円程度ですので、まだ10兆円ほどの余裕額がありますが、それは原油安による恩恵なので、原油価格が2013なみに上昇するとすると、一挙に日本の経常収支赤字が始まり、経済に黄色信号が付き始めます。

  12. 12
    Gokai  :

    >>11>経済に黄色信号が付き始めます。
    きいろしんごうがつくといまさらいわれても、もうとっくに赤信号ですよ、デフレを御覧なさいと言われるかもしれませんが、
    Gokaiに言わせればいままでは、
    まともにマクロ金融を検証しなおさずに、好き好んでデフレ不況を続けてきただけのこと。
    経常収支の赤字継続となれば、
    そのような錯覚によるあるいはマクロ金融への理解不足からの政策ミスによる長期不況ではなく、
    避けることの出来ない必然的な不況に突入となります。
    それも、インフレと不況の同時来襲のスタグフレーションという名の不況です。
    勿論これはTPPの農業への影響だけから見た場合ですので、その他の産業の動きによってはもっとひどい目に合うかもしれません。